こんばんは
TOMYです。
あれは
確か
はじめてレザーの仕事についた15年前だった。
歳上の同期にこんな人がいた。
「レザーへのこだわりは無いがデザイン業がしたい」
そんな人だった。
彼は僕に「レザーのどんな所が好きなの?」
と聞いたので、色々ある中からとっさに
「んー、かたさとやわらかさが混ざってる所ですかね」
と当時の僕は答えた。
木ならもっと硬いし、生地ならもっと柔らかい。
そんな物質的なレザーならではの魅力を伝えたのだ。
それに対して彼は返した
「んー、なるほどね。硬いんだけど、柔らかい。それって
“優しさ”みたいなことなのかなぁ?」
僕は即答で
「あ、いや、素材の感触的な事っすね。」
と返した。
...
…
…
ロマンチックな解釈を
誤ちだと
理解した彼は
スローモーションのように
静かに
そして確かに
頬を赤らめていった。
うっすらピンクの桜色から
色づきはじめた彼のフェイスは
しっかりとした赤
で完成した。
天狗のような赤だった。
今の僕ならきっと
もっと優しい返しが出来ただろう。
あの頃はまだ若かった。
でも
レザーの硬くて柔らかい質感は今も変わらず好きだな
なんて思い出した。
そんな
硬くて柔らかくて赤い思い出。
ではまた。